会長ごあいさつ(2008年9月)

会長就任ごあいさつ 澪電会のさらなる発展に向けて

白川 功
澪電会会長 白川功
(電子・昭38)

 会員諸兄諸氏におかれましてはご壮健でご活躍のこととお慶び申し上げます。本年6月の総会で会長を仰せつかり、以来、本会発展のため、会員の皆様方の更なるご支援を賜るべく、幹事および事務局の皆様方といろいろと案を練らせて頂いているところであります。

 歴代の会長および諸先輩が築いてこられた伝統を守り、かつ澪電会の更なる発展を図るためには、どのような施策あるいはどのような具体的活動を行うべきか、について模索しなければならないと思っております。これにあたり、まず、いくつかの守るべき ‘鉄則’ を確認致したいと思います。

 第1は、電気系教室が奮闘実践しておられる教育研究と社会貢献の活動をいかに支援するか、ということであります。母校あっての澪電会であります。母校の発展のため、澪電会はあらゆる努力を重ねなければならないと思います。第2は、澪電会は会員にどのようなサービスを提供すべきか、ということであります。大阪大学には大学レベル、学部レベルから学科レベルまで70を超える同窓会があると聞いておりますが、そのような環境にあってわが澪電会はどのような特色ある役割を果たすべきか、について考えなければならないと思います。第3は、澪電会の運営をどのように健全化するか、ということであります。歴代会長がこれまでに苦慮してこられた最大の課題は、会費の納入率をいかに引き上げるか、ということです。これについても有効な対策を考えなければならないと思っております。

 以下にこれらの課題について、一端を述べさせて頂き、会長就任の挨拶にかえさせて頂きたいと思います。

[I] 電気系教室への支援

 母校の支援を考えるにあたり、まず、本年は大変大きな節目の年であり、電気系教室創立100周年、電子工学教室創立50周年を迎えたことをお知らせするとともに、この慶事を会員ともどもお祝い致したく存じます。

 この機会にまず電気系教室100年の歴史を振り返ってみたいと思います。

[電気系教室100周年の歩み]
 20世紀初頭の1901年(明治34年)5月、官立高等工業学校が全国で2校、大阪と東京に、それぞれ大阪高等工業学校と東京高等工業学校(現東京工業大学)として誕生しました。大阪高等工業学校の前身は1986年(明治29年)に創設された(官立)大阪工業学校であり、東京高等工業学校の前身は1890年(明治33年)発足の(官立)東京工業学校でした。
 大阪高等工業学校の所在地は、当時の大阪市北区玉江町(現中之島5丁目:リーガロイヤルホテル東隣)であり、8科を擁しておりました。1908年(明治41年)2月に電気科が新設され、これがわが電気系教室の母体となり、今日の創立100周年を迎えたことになります。大阪高等工業学校はその後1922年に東野田地区(都島区網島)に移転しました。
 大阪高等工業学校は1929年(昭和4年)に(官立)大阪工業大学に昇格し、電気科が電気工学科として発足しました。これと時を同じくして東京工業大学と旅順工科大学が誕生しました。かっては、これらの3つの工科系大学を「旧3工大」と呼ばれていたようです。なお、当時の大阪工業大学は6学科13講座を擁しておりました。
 この大阪工業大学は、1933年(昭和8年)に大阪帝国大学(1931年創立)へ移管され、大阪帝国大学工学部となり、当時は7学科26講座を擁しておりました。1940年(昭和15年)4月に全国に先駆けて通信工学科が設立され、電気系教室は2学科となりました。終戦後の1947年(昭和22年)には大阪帝国大学が大阪大学と改称されました。
 1949年(昭和24年)の新教育制度により、大阪大学に新たに文科系学部が誕生し、総合大学としての新制大阪大学がスタートし、工学部はそのまま新制大阪大学工学部となりました。1953年(昭和28年)4月には新制大学院工学研究科が発足し、電気工学専攻と通信工学専攻等11専攻が誕生しました。1958年(昭和33年)4月には電子工学科が誕生し、電気系教室は3学科となりました。1970年(昭和45年)の万国博覧会の年に、工学部は東野田地区から現在の吹田地区に移転しました。さらに1989年(平成元年)4月に情報システム工学科が誕生し、電気系教室は4学科に拡充しました。
 1995年(平成7年)に始まる大学院重点化により、工学部の改組・再編が始まります。まず、これまで各学科を核とする工学部の教育研究体制が、各専攻を核とする工学研究科の教育研究体制へと改組されました。1996年(平成8年)4月には電気系4専攻は原子力工学専攻と合体し、電子情報エネルギー工学専攻として発足しました。2002年(平成14年)には工学研究科および基礎工学研究科の情報系の講座の合体によって情報科学研究科が創設され、情報システム工学専攻はこの新設の情報科学研究科に移行しました(ただし、学部情報システム工学科は工学部に残りました)。
 2004年(平成16年)4月には、わが国の大学改革の最終的施策である独法化によって、これまでの大阪大学は国立大学法人大阪大学に移行し、教育と研究に加えて、社会貢献が大学の第3の使命として加わりました。2006年(平成18年)4月には、学部電気系4学科(電気・通信・電子・情報システム)は電子情報工学科として改組され、その中に電気電子工学科目と情報通信工学科目が誕生し、同時に、大学院電気系3専攻(電気・通信・電子)は電気電子情報工学専攻として改組され、その中に電気電子システム工学部門、情報通信工学部門、および量子電子デバイス工学部門の3部門が誕生しました。これが現在の電気系教室の陣容です。

 創立100周年を迎えた電気系教室では、下記のように、吹田祭に協賛して、電気系教室、情報科学研究科、レーザーエネルギー研究センターの歴史を中心とした記念講演会を開催する予定でありますので、ここに会員の皆様方にお知らせする次第です。澪電会の会員におかれましては、吹田祭とこの記念講演会、あるいはこの機会を利用して研究室見学、に多数ご参加頂ければ幸いです。また、各研究室におかれましても、研究室出身OB の方々と現役学生との交流の場をこの日に設定し、研究室見学および情報交換の場を設けて頂きたく要望致します。OB から研究室や学生に対して親身のエンカレッジを頂く絶好の機会となることと期待するものであります。

吹田祭 電気系教室創立100周年記念 講演会
日時:平成20年11月4日(火)16:00~17:30、場所:U2-311

 一方、澪電会と致しましては、母校の創立100周年記念事業として、下記のように、総会にあわせて、祝賀会と記念講演会を開催致します。是非とも同窓の方々をお誘いの上、万障繰り合わせの上ご臨席賜りたく、お知らせ致します。なお、例年は総会を6月の第1金曜日に開催しておりましたが、今回は上記のように6月6日(土)開催となっておりますので、ご注意頂くとともに、スケジュールの確保をお願い申し上げます。

電気系教室創立100周年記念 総会・祝賀会・記念講演会
日時:平成21年6月6日(土)11:00~16:00、場所:リーガロイヤルホテル(大阪)

 また、澪電会が学部卒業生と大学院修了生に対して行っている恒例の「卒業・修了祝賀会」は、本年度は以下の予定で挙行することになっております。これにつきましても会員の皆様方のご臨席を仰ぎたく、お知らせ致す次第です。

電気系教室卒業・修了祝賀会
日時:平成21年3月23日(月)17:00、場所:千里阪急ホテル

 さて、母校の支援という観点からは、本年度から新たな活動を始めております。それは、入学して間もない新入生をエンカレッジするための「祝賀講演会」です。本年度は、グローバルCOE「量子電子デバイス研究教育拠点」との共催で以下の講演会を開催致しました。

[入学祝賀講演会]
平成20年5月2日 15:00~17:00, 於 工学部内講義室U2-312
  • ノーベル賞候補の天野浩教授による特別講演会 「学生が創ったイノベーション;青色発光ダイオード誕生の秘密」名城大学・天野浩教授
  • 「会社が望む人材像」澪電会東京支部長・池田博昌先生
  • 「良い人間関係を築くためのコミュニケーション 」阪大特任研究員・根岸和政先生

 この講演会の終了後、会場を銀杏会館に移して懇親会を行いました。世話役の先生方のご尽力により、阪大の歴史的トピックスに関するクイズ形式のプレゼンとそれに関するクイズと抽選があり、ほとんど初対面の新入生同士が相交え大変盛りあがりました。今回の大成功により、この激励の催しは継続して開催する予定です。次回は、マイクロソフト(株)日本法人の樋口泰行社長(電子・昭55)に講師をお願いしております。時期としては大阪大学の五月祭の一環(例えば、ホームカミング・デー)として開催できれば、と思っております。詳細につきましては、決まり次第お知らせ致しますので、会員の皆様方のご参加を期待致しております。

[II] 支部会員へのサービス

 澪電会会員への最大のサービスは支部活動への支援であります。これまでに庶務幹事あるいは副会長として支部総会に何度か出席させて頂きましたが、総会あるいはそれとともに挙行される見学会や講演会等の行事は、会員に対する極めて意義のあるサービスであると思います。しかしながら、その際にいつも感じることは、本部からは型どおりの参加であるため、支部会員の参加意欲にいまひとつ盛り上がりが見られず、本部との情報交換が十分でないようにも思われます。これが今後改善すべき第一の点であると思います。その意味で、本年度の各支部の開催日程を以下に記しますので、本部あるいは一般会員のできるだけ多数の方々の支部行事への参加を期待致しております。開催場所や行事等の詳細につきましては、わかり次第お知らせ致します。

  • 10月18日(土)中国支部
  • 10月25日(土)九州支部
  • 11月 9 日(日)東海支部
  • 11月15日(土)北陸支部
  • 11月29日(土)四国支部

 さらに、ここで支部総会の幹事の方々にもお願いがあります。総会あるいは行事をできるだけ早期に決定し、本部にお知らせ頂きたいということです。インターネット等を通じて会員にいち早くお知らせし、できるだけ多くの会員が参加できるような仕組みを整えたいと思うからです。特に、会員各位におかれましては、支部方面への旅行に興味をお持ちの方が多いと思われますので、是非とも総会にあわせて旅行計画をお立て頂き、支部総会に出席し、同窓生との旧交を温めて頂ければ幸いです。

 とにかく、支部の行事あるいは総会が最大多数の会員の興味を引き、支部活動が盛り上がるような仕組みづくりに貢献することが、支部への最大のサービスであると考えております。

[III] 澪電会運営の健全化

 澪電会の運営をどのように健全化するかは、歴代の会長が最も苦慮してこられた長年の課題であります。澪電会運営の健全化は一に会費の納入率の向上にかかっており、その納入率を今後どのような手順で引き上げて行くかは、澪電会活動の死活問題であります。従来は、澪電会の個々の役員の献身的なご努力により、納入催促を組織的に行い、会費納入率の下落をなんとか食い止め、難関を切り抜けてきた、というのが実情であります。現在、9,000名を超える総会員数のうちの約2,000名強の方々に、澪電会活動に対して積極的な賛意を頂いております。すなわち、これらの会員の方々には、ありがたくも、澪電会を盛り上げようという使命感と責任感を抱いて頂いている、と言うことができます。問題は、残りの7,000名の会員の方々に対してどのようにして澪電会に興味を感じて頂けるか、ということです。これらの方々にとって澪電会に魅力を感じることができるかどうか、あるいは会費を払うに足りるbenefit が見出せるかどうか、にかかっていると思います。換言すれば、澪電会の運営の健全化のためには、各会員に魅力的でかつ価値あるサービスを提供することが最大の解決策となります。

 そこで、まず、澪電会本部が現在行っている会員サービスの最大の一つである名簿発行に注目致します。個人情報保護法によって各種名簿の発行にブレーキがかかっておりますが、わが澪電会はそれを押し切って従来通りに昨年決行致しました。名簿発行が会員に対する最大のサービスであると考えるからであり、以後も継続する予定であります。会員各位のご理解とご支援を改めてお願い致す次第です。

 つぎに、恒例となっている「見学会」に注目します。

 まず、本年度も下記の見学会を予定していることをお知らせ致します。

[平成20年度見学会]
日時:11月7日(金)11:45 「JRユニバーサルシティ駅」改札口集合
見学先:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)コジェネ設備およびアトラクションの制御設備

 この見学会につきましては、次年度からは、会員の関心を高める観点から、多数の若手会員も参加できるような仕組みを導入しなければならないのではないかと考えております。

 また、新規の会員サービスとしてどのようなものが考えられるかについて、役員会で模索しなければならないと思っております。会員各位のアイディアを是非ともお寄せ頂きたくお願い致します。    

 この点で、考えられる方策の一つは、若手の会員の関心を高める仕組みとして、インターネットによる「告知板」としての澪電会会員向け「メイリングリスト」を導入することです。これにより、澪電会活動以外の、ビジネス、ベンチャー起業、就職、生涯教育、同窓会案内、等に関する情報提供と人的交流が不特定多数の会員相互で可能となり、それを通じて、会員同士の連携強化の仕組みが構築できるのではないか、と思っている次第です。

 さらに、澪電会の会員のなかには、米国における企業活動で成功された著名な方が多数おられますので、その方々の貴重な知的資産と経験を活かした情報交換の場を作ることも考えております。

 以上述べさせて頂いたような地道な活動によって、会員の輪を広げて行くことが、結局は、各会員に魅力的でかつ価値あるサービスを提供することにつながるものと確信致します。

 最後に、澪電会の更なる発展のため、会員の皆様方には是非とも澪電会に対するご理解とご支援を賜りたく切にお願い申し上げる次第です。

 会員諸氏諸兄の忌憚のないご意見をお待ちしております。

2008年9月

Last-modified: 2009-09-25 (金) 19:01:26 (5317d)