会長からのひとこと(2004年8月)
大西 良一
本年度、澪電会会長を、仰せつかっている、昭和32年通信卒業の大西です。
本来ならば、羽織袴で「御挨拶」というところなのでしょうが、今風のホームページだとなれば、ノータイで綿パン姿のお目見えも悪くはないと思います。
一昨年から2年間、会長見習いとして「澪電会」を眺めさせていただきました。8、000人の大所帯を、年度単位で交代する役員さん方のお力で、永々と大過なく切り盛りされているこのシステムと、事務局をはじめ関係する方々のご努力とに、まずは驚かされました。
しかし、いったん何らかの役割を背負い込んで、「澪電会」というものをあらためて見直し、全貌が見えて来ますと、決して、順風満帆ではなく、あれこれ手を打たねばならないことが分かって来ます。
「澪電会」10年の大計、現在の日本の動向に対する施策などについては、歴代会長、諸先輩方のご指摘がすでに数多、行われておりますので、ここでは、「ノータイ、綿パン」が及ばずながら、次元の低い、しかし分かり易く、具体的な問題をひとつだけ取り上げて、皆さんと意見の交換が出来たらと思います。
こんな例題では、如何でしょうか。
『8、000人、澪電会会員の帰属意識を取り戻し、会費の徴収率を高めよう』
このところ、学会、同好会などの会員数の減少が、あちこちで問題とされています。このような同好の士の集まりでは、最大の関心事ではありましょう。しかし、こと「同窓会」では、仮に総人口の減少があっても、世の中が不景気であっても、さして問題にはなりません。まして、卒業生の集まりですから、人口比率老齢化は、優位にさえ作用しているはずです。
それならば何故、「澪電会」では、イベントへの参加人員数の低迷、会費徴収率が30%程度、という現象が生じるのでしょうか。より魅力ある会合、行事を提供することなども当然併せて考慮されるべきでしょうが、もっと基本的なところで、広報活動の果たしている効果を考えなければならないと思うのです。卒業しても、個人個人、バラバラではない。同期の集まりがあり、企業を介しての交流があると思われていますが、意外とその種の交流は現実には、狭く、表面的で、各人の行動誘発には至らないものなのです。
「澪電会」では、会員に情報を流し、関心を呼び起こす機構には、現に色々な手だてがありそれなりに機能しています。たとえば、「各クラス委員」「各企業内役員」「行事の郵便連絡」「名簿の領布」などがそれです。しかし、いま望まれるのは、通常の広報もさることながら「無関心会員」を掘り起こす広報なのではないでしょうか。
クラス委員と企業内役員は、ボランティア活動に打ち込んで下さっている方々の労を多といたしますが、その成果は、役員の方、個人々々のキャラクターに負うところが決定的です。
2004年度、企業内役員の次年度への選任法を単なる申し送りでない形への手直しが、吉野副会長ほかの肝いりで、複数の企業において実行されました。次年度以降、その輪を急速に広げて行きたいものと思います。
クラス委員については、とくに卒業後10年以上経った年次では最重要な機構であり、現時点で見る限り、その大半の機能は不十分だと感じております。各クラスメンバーの互選に近い形での再選出が必要だと考えます。
また、郵便を介した一般広報は、事務局のご努力により、現時点では最大の広報効果を上げており、基本的手段として存続すべきものと考えますが、若干の追加、修正が望まれます。原因は、会員動静に対する即応性と、コスト・パフォーマンスの問題です。
これへの改善策は、ホームページ、E-mail への展開であることは、火を見るより明らかです。ホームページの活性化については、「大阪大学工業会」との緊密な連絡のもとに、新しい展開を期したいものです。本稿も、その一環と考えています。しかし、ホームページがどうしても受け身であり、利用者にも限界があるとすれば、E-mail にもう一つの期待をかけざるを得ません。プライバシー、企業内アドレス利用などで、問題は生じるでありましょう。しかし、とにかく実行してみて、その功罪を論じるのが、現実的であると思います。
この例題でも分かるように、問題提起とその解決策は、割と簡単につかみ出せるというか、すでにみなさんご存じのことなのです。何事も、言うは易く行うは難しなのです。実際に作業される担当役員の方々は、超ご多忙の毎日を持ち、しかも2年ごとにバトンタッチで、変わって行ってしまわれます。ここでは、愛する母校の発展のために、年次を越えた担当役員、幹事の地道な努力に待つしかありません。
何も、本年度であれもこれも改革を達成しようなどとは申しません。しかし、常に意識を持ち続け、一気に頂上まで登れなくとも、まずは一合目への真摯な挑戦が、長い目で見た達成に繋がるのだと思っております。
2004.08.20